ニセコ千本桜と狩太八景を知る

世界環境デーの6月5日に毎年開催される千本桜の整備と草刈ボランティアに参加すると知らなかったことがたくさん学べました。

「ニセコにはこんなに素敵な場所があるんですね、知らなかったです」という私たちに、

「ああ、そう?まあ、あまり宣伝してないっていうか・・・前に新聞には載ったけどね」地球環境デーに集まった10人近くの有志ボランティアの一人がそう言う。

「今年の6月5日は月曜で平日だからね、週末ならもっと来てくれるかもしれないけど」

ニセコ町は有島地区にある宮山は、有島武郎のカインの末裔にも登場する小高い山(標高218メートル)で、かつては、狩太八景の一つとされていました。当時はたくさんの山桜があり、とてもきれいだったそう。数本にまで減ってしまった山桜をどうにかまた桜の名所とするために、2007年に植樹が始まりました。

植樹2年目の2008年には、ニセコ千本桜運動とし、毎年100本ずつ、そして2012年には1500本もの植樹本数となりました。

宮山の小径の整備を、ニセコを愛する人たちの手で、毎年6月5日に行っています。今年は月曜日ということで、例年よりも少ない人たちでしたが、ベテランのおじ様たちが歴史をはじめ、草の刈り方、植物の種類に至るまで丁寧に教えてくれました。

Niseko Senbon Zakura In Arishima Area 16

宮山のすぐそばに住むベテラン(おそらく最年長?)の亀田満吉さん。

ニセコには、まだまだ知らない隠れスポットが多くあります。この有島地区にあるカシュンベツ川遊歩道も、この初夏の時期や夏の緑潤う時期に歩くと、鳥のさえずりとセミの鳴き声、そして小川の流れる音が聞こえ、なんだか開放的で懐かしい気持ちになれるのです。

またこの宮山は、元々は登山道がなかったところに、ニセコを愛する会の皆さんで子供やお年寄りでも歩けるよう、山をらせん状に回れるようなルートを造成し、景色の良いスポットには標識と休憩するベンチが置かれました。

狩太八景の休憩所には、以下の道標が建っています。全部回ってみると、それぞれの方角から素晴らしい景色を見ることができます。(今では木々が生い茂り、景色を遮っているところもありますが)例えば蝦夷富士の旭の地点からは羊蹄山がどんと見え、羊蹄山の後方から朝日が昇るころはとても美しいのだとか。小高い山ですので、全部回ってみてもそんなに時間はかかりません。

•宮山の桜

•ルベシベの翠緑

•真狩野の秋月

•ニセコアン岳の暮雪

•蝦夷富士の旭

•昆布岳の夕照

•後志の紅葉

•夏春川の水音

この道標の点検では、表示されている文字が欠けていたり、草が生い茂って隠れてしまっていたりしました。草を刈り、道標の文字の点検をしました。彫ってインクを流す方法が長持ちしそうな気がします。

ニセコをこよなく愛する会の代表、中島さんは、今年の桜もとても美しかったと話し、新しいニセコの名所になるようにするには、植樹するだけではなく、その木の手入れや小径や遊歩道をしっかりと整備するため、人々の協力が不可欠だと話していました。宮山の千本桜はこんな、ニセコを愛する人たちの力で支えられているのです。

新しく植樹した桜の木も、まだ若い木には、雪の重みから守るために支柱で支えなければいけなかったり、冬の間にネズミに食われてしまう木も少なくないそう。それでも植物の生命力は強いもので、生きていればまた根が生え、違う枝が生え、葉を付け、育っていきます。雪の重みによってぐにゃりと曲がってしまった木も見かけました。

Niseko Senbon Zakura In Arishima Area 21

高くそびえる白樺の木を見上げて、

「あれは50年ほどかなあ」とつぶやく斎藤さん。オンコの木のように、成長がゆっくりな木に比べ、白樺のように強い陽光のもとで育つ陽樹は成長が早い代わりに寿命は短く、数十年。もう葉がなく、朽ち果てそうな木もありました。

どこからともなく飛んできてそこに身を構えたトドマツの苗木。秋には落葉キノコが自生することを期待し、そのままトドマツの木々を見守っていたりもするのです。

散歩道を歩いていると、はかなげに群生する小さな水色の花が。

「あれはわすれなぐさだね。あんまり小さくて地味なもんだから、ここにいるよ~、忘れないでね、って言ってんだよ」

と斎藤さんの説明を聞きながら、そこに咲く小さな水色の花に目をやると、なんだか素直で、健気で、少したくましくすら感じました。

Niseko Senbon Zakura In Arishima Area 11

わすれなぐさ

各々がカマや草刈り機を持参し、作業にあたりました。カマの使い方もろくに知らずでの参加でしたが、道具の使い方を一から教えていただきました。全員が、ニセコを大切に思っているというのが節々で感じられ、みんなで汗を流して作業することも、大切な交流の一つになりえることも学びました。参加者がほぼ全員、筆者よりも30も40も年の離れた人生の先輩者。彼らの言葉にはユーモアと経験値が併存していました。

与えられた場所を担当すること約2時間。全員が集合し、お疲れ様のお茶とおにぎりがふるまわれ(ありがとうございます)、その日のボランティアは終了しました。じんわりと汗をかく陽気だったけど、

「いやあ、いい風だなあ」

そう誰かが言ったとき、頬にそよそよと駆け抜ける風が本当に気持ちよく、ふと、今年は逃してしまったけど、桜の開花の時期にはきっとこの風に乗って舞い散る桜の花びらも風情ある情景なのだなあと想像を掻き立てられたのでした。

来年の6月5日は火曜日です。より多くの人が整備に参加してくれますように。皆さま、お疲れ様でした。