こんな場所なかった、ニセコに吹く新しい美と文化の風

和を存分に意識した、ニセコの新しい美術文化発信地、SOMOZAを一足早く視察してきました

Somoza Tea Room 1

ショウヤ・グリッグさんという方をご存知でしょうか。SEKKA STYLEシリーズ、またHANAZONO地区にある坐忘林と言った方がピンと来る人は多いかもしれません。そのすべての創設者、グリッグさん、彼自身のセンスの集大成が、ここニセコにて存分に発揮された場所がこのSOMOZAといっても過言ではありません。

まずは建物ですが、日本の昔ながらの家屋とモダンがうまく混ざり合っており、建物内の中心にある目を見張る梁は、栃木県の築150年の古民家の解体されたものが運ばれてここニセコでまた新しく第二の人生を歩んでいるのです。SOMOZAに使用されている柱や梁だけでなく、ガラス窓や障子までほぼ、解体された古民家からの再利用となっています。

床から天井までの巨大な窓は縁側の通路に沿ってあり、そこから見る景色は圧巻です。ギャラリースペースはそのそばにあり、今までグリッグ夫妻が長年かけてコレクションされた数々の陶器や湯飲みなどが陳列しています。ギャラリーに隣り合わせるように、オープンスペースがあり、12人がけのまるいテーブルが配置されています。このスペースは、冬季にはディナーを、夏季にはランチを提供する予定だそう。

ギャラリーの上には茶室のある2階があります。ひっそりと侘寂を感じるには最高の雰囲気で、その畳のスペースを区切る芸術的な仕切りがまた、静寂を更に掻き立てるような、一角となっています。

茶室特有の出入り口、躙口(にじりぐち)も設けられており、これは千利休がかつて茶室に入るにはどんな身分であろうとも低く頭を垂れ伏して入り、己という者をまず一度捨ててお互いに一人の人間として対峙する、立場を捨て、無垢なままの姿になれ、という、いわば茶室は小宇宙、または母親の胎内であるという、精神的、思想的な目的が意図的に表現されたものなのです。

地下に参りましょう。ここまでも和モダンな空間は続きます。同じく、床から天井までの規格外の窓ガラスに囲まれたこのスペースは、イベントや会議スペースとしても利用され、その景観はいうまでもなく、巨大な絵画のようにそこに静かに鎮座しています。現時点でSOMOZAがどのような活動をしているかなどは未発表ですが、芸術、美術、文化、などに重きを置いた活動を求める人たちにとって、これほど刺激的で適切な場所はないのではないでしょうか。これほどまでにコンセプトがぶれず、こだわりを持った空間がここニセコにあったでしょうか。今後のイベントの告知は、期待を持って待つことにしましょう。