秋の定山渓と河童伝説

ニセコと札幌の間に位置する紅葉の名所、河童伝説を持つ定山渓。ハロウィンの時期にはもってこい?

ニセコから札幌へ行く中山峠を通ると、定山渓に出ます。ここは北海道の中でも紅葉の美しさ、そして56もの泉源を持つ温泉郷として有名です。10月。紅葉狩りのピークの定山渓は、黄色やオレンジの彩りと、濃い緑のパッチワークのような森に囲まれ、訪れる人を楽しませてくれます。

Jozankei Autumn Leaves

定山渓を散策していると、気づかれることも多いのが、この「河童の銅像」です。実は河童は定山渓のマスコットとなっていて、その謂れは、明治時代にまでさかのぼります。ダムができるまでの豊平川は、流れも速く、深淵には大きな川魚も豊富に生息していたそう。当時村でも美男子で有名だったある青年が川で魚を釣ってると、急に引き込まれるように川底に沈んでいきました。これを目撃していた人たちがすぐに救出しようと飛び込んだりしたのですが、淵が深く、助けることができませんでした。そして不思議なことにこの青年の姿はついに発見されることがないまま1年が経ちます。青年の一周忌の夜、この青年は父親の夢枕に現れ、なんと「女河童に気に入られて結婚した。今は妻と子供と一緒に幸せに暮らしている」と語ったそうです。今でもその青年が姿を消した淵を「かっぱ淵」と呼ばれています。それ以来、おぼれる人はいなくなったそう。

引きずり込まれる話は身の毛がよだちますが、お話は意外にもハッピーエンド。マスコット化した河童の像もかわいらしいものが多いです。温泉街のいたるところで見られるかっぱ像は道内外の彫刻家によって制作されました。ハロウィンのこの季節、そんな話をしながら温泉街を散策して「かっぱ」に出会ってみてください。