ニセコで出会う、色とりどりの加賀ゆびぬき

ニセコの加賀ゆびぬき作家、デイビッドソン麻希子さんを訪ねて

「ゆびぬき」って聞いたことありありますか。石川県は金沢に古くから伝わる伝統工芸品(=加賀ゆびぬき)は、シルクの色糸を使い、一本一本重ねて模様を作る、お裁縫道具の一つです。今では、皮やゴム製品や金属で造られた既製品が一般的かもしれませんが、針を押すために指にはめて使う道具と言えば、あっと思い出す人も多いのではないでしょうか。

もともとは金沢は城下町であり、加賀友禅から着物を仕立てる縫子さん達が、当時貴重だった、着物に使う絹糸などの残り糸で、自分の裁縫箱にある仕事道具を美しく彩らせたことが始まりだといわれています。

Mayura Traditional Silk Made Thimbles 7

デイビッドソン麻希子さんは、ニセコ唯一の加賀のゆびぬき作家です。そんな麻希子さんは、一体どこでこのゆびぬきと出会ったのでしょうか。

麻希子さん:私がゆびぬきと出会ったのは、インターネットです。全く違う調べ物をしていて、たまたま加賀のゆびぬきがヒットし、単純に一目見て、美しいと思いました。これは一体なんだろう、という好奇心から、どんどん知識を付け、作りたいと思ようになりました。

エクスペリエンスニセコ:どこかで学んだりとかではないということですか?

麻希子さん:独学です。本を買い、まずは試してみました。もともと細かい作業が好きだったので、すぐにのめり込みました。

エクスペリエンスニセコ:ずいぶんと細かい手作業だと思うのですが、一つ作るのにどのくらい時間がかかるのですか?ゆびぬき用の特別な針などでかがるのですか?

麻希子さん:私の場合、とてもシンプルな柄でも5時間くらいはかかります。針は手縫い針です。

エクスペリエンスニセコ:どういった工程なのでしょうか?

麻希子さん:まずは土台を作り、絹糸で表面をかがっていくんです。一本の糸を幾重にもかがって作り上げます。10メートルくらいは使います。

エクスペリエンスニセコ:縞などの柄には、伝統的なものがあるのですか?意味などもあるのでしょうか?

麻希子さん:例えば「青海波(=せいがいは)」は、中国から伝わった吉祥文様のひとつで、どこまでも続く波、いわばいつまでも続く幸せという意味があり、嫁入り道具としてこの文様は縁起が良く、よく使われていたそうです。「うろこ文様」は、女性の魔除けとしての意味がありました。このように伝統的な模様もあれば、自分の創作のものもあります。色味を変えるだけで、同じ模様でもずいぶんと印象も変わるんですよ。

エクスペリエンスニセコ:模様をご自分で創作される際や、色の合わせ方は、どこからンスピレーションを得るのですか?

麻希子さん:色に関しては、好みが出てしまうのですが、模様に関しては私は自然から発想を得ることが多いです。例えば、着物の柄、自然の花の形、バティックの柄など。

エクスペリエンスニセコ:このゆびぬきは、色も美しく、丈夫なので、他の用途の可能性をたくさん秘めていそうですね。

麻希子さん:最初に造る土台の大きさを変えることによって、その人に合った指輪にすることもできますし、チェーンにつないでネックレスなどのアクセサリー、また大きめの土台でナプキンホルダーなどにもなるので、可能性は確かに無限大だと思います。(実際にチェーンにつないで作られたかわいいネックレスを見せていただく)

エクスペリエンスニセコ:麻希子さんは、今、この加賀のゆびぬきをご自身のブランドMAYURAにて販売されたりしていますが、今後、どのように活動を広げていきたいとお考えですか?

麻希子さん:販売に関しては、自身のHPだけでなく、取り扱っていただけるカフェやレストランさんなどと交渉中です。私は、この国際都市ニセコで、「和もの」が意外に少ないと感じていました。せっかく海外からたくさんの外国人が訪れてくれるので、日本らしいものをお土産に選んでいいただきたいと思い、冬に向けて、準備中です。また、一度東京でゆびぬきのグループ展に参加した経験もあるので、今度はニセコでも作品が充実したら個展をしたいと考えています。

エクスペリエンスニセコ:加賀のゆびぬきを広めるような活動などはお考えですか?

麻希子さん:はい。ご自身で作ってもらえるよう、ワークショップを考えています。こちらも、今最後の場所調整ですが、一回きりの体験だけでなく、できれば地元の方に通っていただけるよう、月に1回というような設定での体験教室を考えています。皆さん同じレベルから始め、最終的にはお好きなものを作れるようになるところまで、広められればと思っています。

エクスペリエンスニセコ:お裁縫道具としてだけでなく、アクセサリーとしても魅力的なゆびぬきは、きっと、学びたい人も多いと思います。麻希子さんにとって、ゆびぬきを制作しているうえで、最も達成感を感じるところはどんな時ですか?

麻希子さん:やっぱり、製作過程というよりも、人が見て、「きれい!!」と言ってくださることが一番の喜びです。

エクスペリエンスニセコ:読者の方に最後に一言よろしくお願いします。

麻希子さん:見た目にも美しい加賀のゆびぬきは、プレゼントにも最適です。私が初めてゆびぬきを見たときに感じた美しさに対する感動を、たくさんの方にお届けできれば幸いです。私のブランド「MAYURA」は、サンスクリット語で「くじゃく」という意味を持ち、幸運をももたらす、と言われています。このゆびぬきが、皆さまにも幸運をもたらしますように。

エクスペリエンスニセコ:ありがとうございました。

Mayura Traditional Silk Made Thimbles 2

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