羊蹄山麓はアスパラ天国

後志管内で生まれ、今や羊蹄山麓はアスパラの一大生産地。空に向かってまっすぐに芽を出す初夏の風物詩、アスパラが今、まさに旬を迎えています。

「北海道のアスパラガスは本当に美味しい」と、他府県から来られた方々がよくそう言います。あんなにジューシーで太いアスパラを一度食べたら、これまでのアスパラガスに対する意識が変わる、なんていうのもあながち大袈裟ではないようです。北海道におけるアスパラガスの栽培の発祥の地は、倶知安・ニセコと同じ後志管内の岩内町とされており、その歴史は明治時代に遡ります。

当時の農作物が冷害を受けたことにより、岩内町生まれの下田喜久三さんという一人の博士が、寒さにも耐えうる強い作物は何かという研究と試作を重ね、その結果、アスパラガスという答えにたどり着いたそう。そしてその後、時代は大正へ移り変わり、品種改良を何度も試みながら1920年代に初めて岩内町の広大な砂丘地にアスパラガスが植えられました。これが日本のアスパラガス栽培の始まりだと言われています。

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羊蹄山麓で栽培されるアスパラガス畑 写真@2020 Hitomi Igawa

グリーンアスパラガス、ホワイトアスパラガスが栽培され、国内外でも高い評価を得るようになります。当時は岩内町にホワイトアスパラガスの缶詰工場もあり、アメリカへの輸出も行っていたそうです。やがて岩内町から、より栽培に適した羊蹄山麓の喜茂別町に、栽培と生産の地が移行されていきます。今の喜茂別町のカントリーサインには、アスパラガスが描かれ、同町の道の駅、「望洋中山」には3本の銀色のアスパラのモニュメントも立っています。生産地が羊蹄山麓に移ったことで、今ではあまり岩内町でアスパラガスの名残を見つけることはできませんが、その発祥の地として、今も記念碑が建てられ(現:岩内協会病院敷地内)、町のマスコット、たら丸くんの手にはしっかりとアスパラガスが握られています。

喜茂別町をはじめとする、今でもアスパラガスの生産が盛んな羊蹄山麓の町は、冷涼な気候と台地によって、初夏になれば、にょきにょきと空に向かって真っ直ぐに伸びる姿を見ることができます。みずみずしく、えぐみの少ない甘い羊蹄山麓のアスパラガスは、後志地方の初夏の代表的な農作物として楽しまれています。そのまま焼いて塩胡椒でも、バター醤油炒めでも、マヨネーズをつけてもとにかく美味しい、限られた時期でしか楽しめない旬の味。地方発送も受けているお店や農家さんもありますので、ぜひ、羊蹄山麓の初夏の味として、遠方の友人や家族へお裾分けしてみてください。

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